薬剤師のお仕事とは

薬剤師はどんな職業ですか?

病気の治療や予防、健康の維持などのために、薬は私たちの生活に欠かせないものになっています。病気やけがで、病院や診療所(医院)にかかって薬をもらったり、体調がすぐれないときに町の薬局・薬店で大衆薬を購入したことがきっとあると思います。
こうした薬が製薬企業で作られ、医療機関や薬局等を経由して消費者の手に届くまでのすべての過程で、薬学を基礎とした専門的な立場から関与しているのが薬剤師です。
薬剤師の任務は、薬剤師法という法律で「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする」と規定されています。

薬剤師はどんな職業に就くのですか?

薬剤師の資格を有している人が働く職場は、薬局や医療機関での調剤業務、製薬企業での医薬品等の研究開発・製造、流通、販売、行政機関における許認可・監視指導・試験検査、教育機関など多岐にわたっています。
平成14年12月31日現在における全国の届出薬剤師数は229,744人で、薬局の従事者が106,892人(総数の46.5%)、病院・診療所の従事者は47,536人(総数の20.7%)となっています。ちなみに同日現在の全国の届出医師数は、262,687人です。
なお、厚生省ホームページに、「平成14年 医師・歯科医師・薬剤師調査の概況」が掲載されています。(薬剤師の、施設・業務の種別にみた薬剤師数はこちらをご覧下さい。)

薬剤師になるには?

薬剤師になるためには、薬剤師国家試験に合格しなければなりません。受験資格は薬剤師法によってこれまでは4年制の大学で薬学に関する正規の課程を卒業した人にとなっていましたが、このほど、第159回通常国会に於て、「学校教育法改正案」及び「薬剤師法改正案」が可決・成立したため、平成18年度入学生から、薬剤師教育の修業年限は原則6年間となりました。
平成16年4月現在、薬学系の学科を設置している大学は全国に55校あります。設立主体別にみると、国立14校、公立3校、私立38校となっています。夜間部や短期大学はありません。薬学部・薬科大学への入学志願者・入学者に占める女性の割合はそれぞれ約3分の2です。
薬剤師国家試験は、毎年3月末に2日間の日程で実施されます。平成16年3月に実施された薬剤師国家試験の合格者は8,653人で合格率は78.32%でした。 最近5年間の合格率は70%から80%の間で推移しています。試験に合格すると、申請により厚生労働省の薬剤師名簿に登録され、厚生労働大臣から薬剤師免状が与えられます。
薬剤師免許を持ちながら薬剤師業務から遠ざかっている人は女性に多くみられますが、このような人たちが再就職するに当たっては、拡大、多様化している薬剤師業務の内容を把握し、不足している知識や技能を改めて身に付ける必要があります。このため、(財)日本薬剤師研修センターでは厚生省や(社)日本薬剤師会などと協力して、薬剤師の資質向上のための生涯研修や未就業薬剤師の研修を企画、実施しています。また、都道府県薬剤師会や地域の支部薬剤師会においても研修会が開催されています。

■ 全国の薬科大学、薬学部のある大学はこちらからご確認下さい。(→日本薬剤師研修センターへ

■ 薬剤師関係問い合わせ先

薬剤師国家試験については、
厚生労働省医薬食品局総務課
〒100-8916東京都千代田区霞ヶ関1-2-2 電話 03-5253-1111
http://www.mhlw.go.jp/
薬剤師についての全般的なことは、
→ 社団法人 日本薬剤師会
〒160-8389東京都新宿区四谷3-3-1 富士・国保連ビル 7F 電話 03-3353-1170
http://www.nichiyaku.or.jp/
病院診療所勤務薬剤師については、
社団法人 日本病院薬剤師会
〒150-0002東京都渋谷区渋谷2-12-15 長井記念館8階  電話 03-3406-0485
http://www.jshp.or.jp/
薬剤師の研修に関することは、
財団法人 日本薬剤師研修センター
〒107-0052東京都港区赤坂1-9-13 三会堂ビル5F  電話 03-3568-8201
http://www.jpec.or.jp/

薬剤師の代表的業務-調剤業務

薬剤師の最も代表的な業務は調剤です。「調剤」の定義としては、大正6年3月19日の大審院(現在の最高裁判所に相当)判決で「一定ノ処方ニ従ヒテ一種以上ノ薬品ヲ配合シ若クハ一種ノ薬品ヲ使用シテ特定ノ分量ニ従ヒ特定ノ用途ニ適合スル如ク特定人ノ特定ノ疾病ニ対スル薬剤ヲ調製スルコト」とされています。

しかし、現在では、医師の処方せんどおりに薬を正確かつ迅速に調製するだけでは十分とはいえません。薬の有効性、安全性を確保して適正な使用を推進するために、処方された薬に関する副作用や併用している薬との相互作用などについて、患者の体質やアレルギー歴、これまでの服薬状況等をまとめた記録(薬剤服用歴の記録)と照合したり、患者との対話で疑問点があれば処方医に照会したうえで調剤することが必要となっています。

調剤した薬はそのままでは単なる物ですので、そのものが薬としてが適切に服用されるためには、個々の患者に合わせた服薬指導を行わなければなりません。

また、処方医にも必要な情報を提供することが求められるようになってきており、こうした業務を遂行するに当たって、薬に関する最新情報の収集と整理も重要な業務となっています。

薬剤師の代表的業務-調剤業務

また、最近では、病院勤務薬剤師の場合、薬剤部門内での調剤業務に加えて、医師が適切な投与量を判断するために、投与している薬の成分について血液中の濃度を測定したり、医師や他の医療スタッフと供に入院患者の病床に赴き、薬剤師が直接患者に、使用している薬についての服薬指導や注射薬の管理などを行う臨床活動も活発になっています。町の薬局でも、薬局の調剤室内での調剤業務に加えて、寝たきり老人など在宅患者の家を訪問し服薬指導や薬剤管理指導などを行う在宅医療業務も増えています。